仕上げ④
喫茶店を出て、駅に向かって歩き始めました。恐らくゆっくり歩いて1時間ほどかかる道のりだったかと思います。
グーグルマップをみながら歩いていくと、国道から住宅街みたいな、あまり車通りが多くない道に入りました。ここまで結構な距離を歩いてきており、お互い口数も少なくなりつつありました。沈黙の時間もまあまああったかと思います。そんな中で、いきなりHさんが切り込んできました。
Hさん『Takebayashiさんは私のこと、どう思ってるんですか?』
いきなり、不意打ちで切り込まれたので、めちゃくちゃ焦りました。
私『え(゜o゜;!??あ、いや、、どうって。。』
Hさん『私はもうTakebayashiさんと一緒になりたいと思っています。Takebayashiさんだって、もうそれは分かってるんでしょう?』
私『ん、まあ、、なんとなくは。。』
Hさん『そうですよね。私分かりやすいですもんね。で、どう考えてるんですか??』
私『(´゚д゚`)!』
それまで完全に無防備だったのですが、防御態勢に入る間もなく、Hさんにガンガン打ち込まれました。まさかこの日、こんな話をするとは思わなかったのです。自分からもそんなつもりは一切ありませんでした。あまり考える時間もないなかで、どう答えるか考えを巡らせました。
(今日はこれをはっきりさせるためだったのか!何て人だ!どうする俺!? 決めるならこの場ではっきりさせるしかない。)そして瞬時に、ここまで言ってくれてるし、もうこれは決めるしかない!と判断しました。この人を泣かせたくはない、俺はこれを断ったら後悔する、と思いました。
私『俺も一緒にいたいと思ってますよ』
Hさん『ほんとですか!?』
私『ええ、ほんとです。』
Hさん『嬉しいですけど、私ははっきりTakebayashiさんがどうしたいか、直接聞きたいです』
私『え。。何を(゚A゚;)ゴクリ?』
Hさん『どうしたいのか、です。』
私『さっき言いませんでした。。っけ??』
Hさん『私はTakebayashiさんとお付き合いしたいと思っています。Takebayashiさんは?』
私『俺もそう思ってますよ』
H『そう思うって?それを直接Takebayashiさんの口から聞きたいです』
見た目も性格も普段は大人しく優しい感じなのに、獲物を狙ったときのHさんのこの攻撃力は、まじ半端なかったです。この時のHさんは、正しく虎、そのものでした。
虎に憧れ、虎を目指し、しかし最終的には真の虎にはなりきれなかったポンコツ男が、最強の虎になった女性に狩られてしまったのです。虎に睨まれた私はやられ放題、もはやどこにも逃げ道はありませんでした。
私『Hさんと真剣にお付き合いしたいと思いますよ』
Hさん『良かったです!』
てな具合で告白し(させられた?)、Hさんと真剣交際に至りました。そしてその日は、『じゃあ、これからもよろしくね』って感じで、駅で普通にお別れしました。
その翌日、お互い相談所の担当者に真剣交際に入ったことを伝えました。ところがこの数日後、担当者から私のところに連絡がありました。
『Takebayashiさん、この度はおめでとうございます。でも、お相手のHさんは成婚退会まで望んでらっしゃるようなのですが?どうしますか??』
基本的な順番としては、仮交際→真剣交際→成婚退会という流れで、私はその中で真剣交際という認識だったのですが、Hさんは真剣交際を飛び越え、一気に成婚退会という認識だったようです。
まあ、私としてももう他の人と面接をするつもりもなかったし、特に問題はなかったので、『あ、じゃあ、私も成婚退会でいいです』と返事し、何ともあっけなく一気に成婚退会となりました。